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山水図襖:長谷川等伯




妙心寺の塔頭隣華院は、祥雲寺開山南化玄興の庵居として、慶長四年(1599)に建立された。その客室周囲二十面にわたり、長谷川等伯が襖絵を描いた。等伯六十歳頃のことである。これはその一部で、客室北側の四面。この作品は後に、天保三年(1832)の再建の際に、狩野永岳によって補筆されているという。

二十面の襖絵は全体として統一感のある風景を展開している。それ以前の作風に比較してやや平面的な印象を与え、線描中心の作風は、晩年に向けての新たな転回を感じさせる。

突兀たる岩陰に開放的な造りの四阿を配し、その中に一人の人間を置いている。四阿の背景には白い山肌が迫り、山中の静寂さを感じさせる。画面左手には水面が見え、右手の山との間に対称性を醸し出している。(紙本墨画金泥引 各197.5×86.0m 隣華院 重文)





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