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花鳥図:海北友松




建仁寺本坊には、海北友松の手になる障壁画五十面がある。そのうちの八面で、一の間を飾っていたのがこの花鳥図。松の巨樹と、その根方にいる孔雀を描いているこの図柄はその一部だ。海北の水墨画のもっとも典型的な図柄である。

松が霞のなかから浮かび上がるようにして現われ、その根方に孔雀がたちどまっている。余白で霞を表現しているのは「松に叭々鳥図」と同じ工夫である。この余白のあるせいで、松の存在感がいっそう際立って見える。



これは孔雀の部分を拡大したもの。孔雀は脚を左右に大きく広げ、いまにも羽を開こうとしているように見える。その視線は地面にそそがれているが、そこに何かを見つけたのであろうか。

全体として荒々しい筆致が、海北の気迫のようなものを感じさせる。

(紙本墨画 八面 建仁寺本坊 重文)





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