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月下渓流図屏風:海北友松




月下渓流図屏風は、海北友松最晩年の作で、友松水墨画の究極の境地を描いたものとされる。現在はアメリカのネルソン・アトキンズ美術館が所蔵しており、日本では見られない。

月光に照らし出された早春の渓流がテーマである。早春だとわかるのは、土筆、蒲公英、椿など早春の植物が描かれているから。

上は左隻。画面左手、第五扇の上部に満月が描かれ、その光に照らされるようにして渓流の水が浮かび上がって見える。その水が光って見えるから不思議だ。



これは右隻。渓流の水は画面中央を流れている。その背景に森が広がっている様子がぼんやりと描かれて渓流を強調する役割を果たしているが、右端第一扇のすっきりと伸びた梅がアクセントとなっている。

左手に広がる余白は、左隻の右側の余白と呼応しあって、画面全体に森閑たる雰囲気を醸し出している。

(紙本墨画 六曲一双 各169.0×353.0㎝ ボストン ネルソン・アトキンス美術館)





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