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洛中洛外図屏風舟木本




洛中洛外図屏風舟木本は、永徳作の上杉本と並んで、洛中洛外図の最高傑作である。初期の洛中洛外図屏風とは異なって、左右両隻の図柄が一定の視点から描かれている。すなわち、両隻をつなぐ中心部に鴨川の流れを配し、右隻には洛東の光景を、左隻には洛中の光景が描かれている。そして両隻の右端には秀吉の象徴方広寺大仏殿を配し、左端に家康の象徴である二条城を配して、一つの連続した画面の中に、この両雄がにらみ合うような布置を展開しているわけである。この二つのものを象徴として極端に大きく描いているおかげで、京都の町はかなり歪曲して表現されている。

上の図は右隻。右端に方広寺の大仏殿が極端に大きく描かれている。その左側、鴨川に係る橋は五条大橋である。その右上画面には、豊国廟、清水寺、祇園などの洛東の社寺が連なり、鴨川の河原では庶民が娯楽に興じる光景が描かれている。



これは左隻。左端に二条城が大きく描かれ、そこと鴨川に挟まれた形で京都の町並みが広がっている。洛中洛外図とはいえ、この図柄からは洛外の自然は排除されてしまっている。



これは、左隻画面右上、第二扇の上部を拡大したもの。下京四条寺町あたりを練り歩く母衣行列の熱気を描いたものである。その躍動感たっぷりの描き方は、岩佐又兵衛のものだと言われる。

(紙本金地着色 六曲一双 東京国立博物館 国宝)





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