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阿国歌舞伎図





この図屏風は、歌舞伎の祖出雲の阿国を描いたもの。阿国は、一座を率いて四条河原などでやや子踊りとか歌舞伎踊りを披露していた。その踊りが後に歌舞伎に発展したといわれる。慶長八年には北野天満宮の能舞台を借りて常設の興行を始めた。この図柄は北野天満宮での興業の様子を描いたもので、おそらく慶長八年に近い時期に制作されたと考えられる。

俯瞰的に描かれた能舞台の上に、お国とその相役、彼らの背後には囃子方が並ぶ。囃子方は、能のそれと同じ構成である。部隊のまわりには観衆が詰めかけているが、かれらは舞台が高揚してくると、一所に踊りだし、舞台俳優ともども熱狂的に踊り狂ったといわれる。阿国の一座はときに弾圧されたこともあったが、それは観衆を熱狂させたエネルギーが不穏なものととらえられたからであろう。



これは阿国の部分を拡大したもの。阿国と思われる歌舞伎者は肩に刀をかつぎ、そのわきにはほおかぶりした道化役者の猿若、そして柱の陰には茶屋のかかがいる。阿国の得意芸「茶屋遊び」が演じられているのであろう。

(紙本着色 六曲一隻 88.0×268.0㎝ 京都国立博物館 重文)





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