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伝本多平八郎姿絵




二曲一隻のこの屏風絵は、寛永年間に流行した婦女有楽図の一つ。右側の第一扇には四人の女が描かれ、左側には禿に語り掛けられる男が描かれる。この男が本多平八郎ではないかと言われ、以後本多平八郎姿絵と呼ばれて来た。



これは右側の部分を拡大したもの。中央の女が、左手の女から手紙を差し出されている。中央の女の服装は総絞りに葵の紋を散らせた衣装、左手の女は、前見ごろを鉄線花、ふりを藤に染め分けた衣装。右手前の女は立て兵庫の髪型で、懐手をしながらキセルをくわえ、その向こう側の女は三味線を手にしている。

中央の女が、その服装からして千姫だろうといわれ、そこから左側第二扇の男が本多平八郎とされて、これは平八郎と千姫との恋仲をあらわしたのではないかと憶測されたわけだが、千姫とされる女が遊女と一緒にいることはあり得ないという理由で、この説は、いまでは棄却されている。

やはり寛永年間に流行した婦女有楽図のうちの、文使い図と見るのが妥当だろう。

(紙本着色 二曲一隻 72.2×157.4㎝ 徳川黎明会 重文)





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