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秋草図屏風:尾形光琳




光琳には草花をモチーフにした作品が数多くある。とりわけ初期の作品に多い。それらの図案は、単に自然の花を再現したと言うよりは、曲線の使い方や構図の配置などに装飾性が認められる。こうした装飾性は、燕子花図と通じるもので、光琳の実家雁金屋の家業である衣装の文様に通じるものだ。光琳は実家の衣装文様のデザインの特徴を、一方では燕子花図のような様式的な図柄に発展させるとともに、この図柄のように、自然を装飾的に描いたわけだ。

この草花図には宗達の強い影響も見られる。宗達との違いは、宗達には対象との一体化への志向が見られるのに対して、光琳の場合には、単なる模写を越えて、独自の造形への意志が感じられることだ。

上は左隻。左側の大部分を、菊を始めとした草花でうずめ、右側には大きな空間を設け、右隻へとつなげている。



これは右隻。画面いっぱいにこぼれ咲く花を配している。

(紙本着色 二曲一双 サントリー美術館)





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