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群鶴図屏風:尾形光琳




この群鶴図屏風は、六曲一双の屏風絵の大作であることから、光琳が大作を本格的に手掛けた晩年の作だと考えられるが、千羽鶴図との対比という意味で、ここに掲げた。

画面の構成は両隻を活用して左右対称になっている。両隻の合わせて十九の鶴が、二手に分かれてそれぞれ向かい合っているわけだ。どちらも金地に胡粉と墨を用いて鶴の姿を描いている。鶴の姿は、前作の千羽鶴とは違って、どれもみな脚で立っている。また両隻のそれぞれの端には、渦巻く波の文様が描かれているが、これは鶴が水辺にいることを、暗示させるための工夫だ。

上は左隻の図。九羽の鶴が描かれ、うち七羽はまっすぐ前を向いているが、一羽は首を低く垂れ、一羽は嘴を下に向けるなど、図柄に変化を持たせている。



これは右隻の図。こちらは十羽の鶴が描かれている。それぞれに小さな変化をもたせ、全体としてリズムカルな印象をもたらすよう工夫されている。



これは右隻の一部を拡大したもの。赤く塗った目が、鶴の表情に色気を添えている。

(六曲一双 紙本金地着色 各166×371㎝ フリーア美術館)





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