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夏秋草図屏風:酒井抱一




酒井抱一は、尾形光琳よりほぼ一世紀後の人である。姫路藩主酒井忠以の弟として生まれたが、三十七歳の時に出家、しかしすぐに還俗して江戸浅草,下谷に閑居し、絵を描いて気楽な生涯を送った。当初は狩野派に学び、また歌川豊春について浮世絵も描いたが、その後光琳に私淑して、琳派の再興に尽くした。文化十二年(1815)には光琳の百年忌を行い、「光琳百図」などを記念刊行している。

酒井抱一の画風は、光琳の一面である重厚さには縁がない一方、洒脱で装飾性に富んだ画風を追求し、粋を好んだ化政期の町人の趣味に応じた。

「夏秋草図屏風」は、酒井抱一の代表作である。この図屏風を抱一は、宗達の風神雷神図屏風を模写した襖の裏面に描いた。もっとも今日では仕立て直されて、別々の図屏風になっている。

右隻に清流を背景に夏草を描き、左隻に秋の草花を描いている。屏風絵としてはめずらしく、銀地を背景につかっている。そのしぶい背景から、図柄が浮かび上がるように工夫されており、図柄相互にも関連性がもたされている。

(紙本銀地着色 二曲一双 各164.0×182.0cm 東京国立博物館 重文)






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