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半身達磨(四):白隠の禅画




静岡県の臨済宗寺院清見寺に伝わる半身達磨像。三百点もある達磨像のなかで、顔の部分がもっとも大きく表現されたものだ。左手に縦書きで賛が添えられ、「直指人心、見性成仏」というおなじみの標語の脇にある落款は「沙羅樹下八十三歳老僧白隠叟書」とあることから、白隠最晩年八十三歳の作品とわかる。

それにしても迫力のある表情だ。これも白隠自身の自画像と考えられるから、白隠が八十三歳まで気迫に満ちた表情をしていたことが伺われる。

この絵の達磨の顔は、上瞼と瞳のほか、髭や上唇も色濃く塗られている。また、顔の下部にある墨の線も黒々としており、全体として力強い印象を与える。

耳にピアスの輪をつけている。こうした耳輪は、白隠にかぎらず、達磨の絵には多く見られる。達磨が生まれ育ったインドの村の風習だという説がある。また、釈迦像の福耳が丸い輪のようになっているのを、達磨の絵では、このような耳輪として表現したという説もある。

とにかく、大変な迫力である。画面が結構大きいので、これと対面すると、迫力に圧倒されるのではないか。

(紙本墨画 130.7cm×91.0cm 静岡県、清見寺蔵)






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