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出山釈迦:白隠の禅画




「出山釈迦」と題したこの絵は、山中で修行を重ね、悟りを開いた釈迦が山を下りてゆくところを描く。仏教の経典では、釈迦は川のほとりの菩提樹の木の下で瞑想し、悟りを開いた後は梵天の勧めに従って衆生の教化を始めたということになっている。川と山の違いはあるが、悟りを開いた釈迦が衆生の教化のために歩み出したというイメージは共通しているようである。

この絵の中の釈迦は、頭頂部は禿げ上がり、無精ひげを生やしている。普通の釈迦のイメージとはかなり異なっている。背後に光の環(光背)を描いているところは、大仏像を彷彿させる。

賛に「寒雲籠雪夕陽重」とあるのは、「苦行釈迦」と全く同じである。



これは釈迦の上半身の部分を拡大したもの。肩から腕にかけて、骨がすけて見えるほどやせ細っている。肩が盛り上がっているので、胸の部分が余計に貧弱に見える。また、表情には、目をうつむき加減にしていることもあり、達磨像に見られるような覇気は感じられない。

(紙本墨画 132.7×56.0cm 個人蔵)







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