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鍾馗鬼味噌図:白隠の漫画




これは鍾馗が擂粉木で味噌を擂っている図柄。よくみると、擂鉢のなかにいるのは、四匹の鬼。これらの鬼は人間の煩悩の化身で、それらを擂りつぶした味噌を食えば、煩悩から解放されて成仏できるじゃろう、というのがこの絵の狙いだ。白隠なりの衆生教化の意図が籠められたものと言えよう。

右上の賛には「鬼みそばかりはむごふとてすりにくひものじゃ」とある。鬼味噌造りはむごたらしいことをせにゃならんので、擂りにくいものじゃと、殊勝なことを言っているわけだ。一方、左下で擂鉢を押さえている鍾馗大臣の息子は、「ととさ鬼みそをちとなめて見度ひ」と言って、食欲の前にむごたらしさの感覚は退いている。

この絵の中の鍾馗は、派手な柄の服装をしているが、これは文官ではなく武官のイメージだ。鬼と戦う姿だから勇ましくしたのだろうか。一方子どもの方は裸で、太鼓腹の下には小さなちんぽこが覗いている。



これは擂鉢の鬼の部分を拡大したもの。あまり苦しんでいる様子には見えない。風呂にでも浸かっているようだ。白隠の愛嬌だろう。

(紙本墨画彩色 56.8×47.5cm 島根県、海禅寺蔵)






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