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びゃっこらさ:白隠の漫画




「びゃっこらさ」も「毛槍奴立小便図」同様、奴を風刺した絵と思われる。この絵の奴は、白狐の姿を借りており、その白狐の「びゃっこ」と奴の蔑称である「やっこらさ」を引っ掛けて「びゃっこらさ」としたわけであろう。

賛には「びゃっこらさ、ばかしておけろのほこらでせ」とある。「ばかしておけろの」は、徳川時代の流行歌の一つである「やりおどり」の一節「任せておけろの」をもじったのだと言う。「ほこらでせ」のほうは意味がよくわからない。掛け声のようなものだろうか。

びゃっこらさは、毛槍の代りに飛脚棒のようなものを担ぎ、それには鬼の二の腕がくくりつけられている。それに付けられた付箋のようなものに、「進上鬼のしほ漬一枝」とあるところから、誰かへの届け物だと思われるが、これによって白隠がなにを言いたかったのか、よくわからない。

白隠の墨画としては珍しく、背景を黒く染めて白狐の姿を白く浮かび上がらせる手法をとっている。



これは「びゃっこらさ」の部分を拡大したもの。鬼の手は三本指になっている。なにやら毛蟹を思わせる。「びゃっこらさ」の着物には、赤飯と書かれているが、赤飯は油揚げとともにお稲荷さんへのお供えものである。

(紙本墨画 107.5×48.0cm 個人蔵)






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