日 本 の 美 術 |
HOME|ブログ本館|日本文化|美術批評|東京を描く|水彩画 | 動物写真 | プロフィール|掲示板 |
山野行楽図屏風:蕪村の世界 |
(右隻 155.1×388.0cm 紙本淡彩 六曲一双) 蕪村の絵の大きな特徴は、自然の風景に必ず人物を添えることだ。その人物は、ほとんどの場合中国風の格好をしている。蕪村が何故、中国の服装に拘ったか、よくはわからない。蕪村ほどの名手ならば、和風の人物を配して、なおかつ南宋画風の情緒を感じさせる技に不足はないと思う。それをあえて、中国風の服装にこだわるのは、よほどの事情があるのか。 「山野行楽図屏風」は、風景を極力省略して、人物にスポットライトを宛てている。右隻のほうは、荒涼たる草原を、馬に乗って進む三人の人物を、左隻のほうは、山道を行く人々の一行を描いている。どちらも、人物は中国風の服装をしている。 右隻の絵は、右手に白々とした月がかかっているところから、黄昏時なのであろう。三人の男たちはおそらく、郊外への行楽から家へ戻っているところと思われる。どことなくくたびれた表情をしているし、馬たちも頭を垂れて、元気がないように見える。 (左隻 同上) 左隻のほうは、山道を登っているところから、行楽へ向かう途中かもしれないが、それにしては、年寄りと見られる男たちは、酔っているようにも見える。 左手の人物の足が水に浸かっているように見えるところから、彼らは小川を渡っているのだろう。両作品とも、「謝春星写」の署名がある。 |
HOME|蕪村の世界|次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2013-2016 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |