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指墨幽渓釣艇図:池大雅の世界




「指墨幽渓釣艇図」は、池大雅の指頭図の傑作である。指頭図というのは、筆のかわりに指を用いる描法で、墨を塗った指で色を置くというものである。大雅はこの技法を柳沢淇園から学んだという。席画として即興的に描いたものが多かったが、この作品は137×57.5cmと、かなりの大画面である。

図柄は、深山の渓流で釣りを楽しむ高士を描いたもの。墨の明暗で岩の様子や遠近感を表現している。細い線の部分は爪先で描いたのだろう。あかみがかった部分は代赭を水で溶いたものを使っている。

左上に「九霞勤指墨」との記載がある。(137.0×57.5cm 紙本着色)



これは高士の部分を拡大したもの。中国風のいでたちをした高士が、川床に座って釣竿を延ばしている。釣り糸は竿に絡んでもつれ、高士の視線は釣竿ではなく、手前の魚篭のようなものに向いている。







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