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西湖春景図屏風:池大雅の世界




「西湖春景」は「銭塘観潮図屏風」とともに六曲一双をなす作品である。西湖・銭塘江とも南宋の都杭州近郊にある。大雅は無論実景を見たことはなかったが、これらは南宋の画家たちがこぞって画題とした眺めであり、日本の画家もそれに倣って描いた。大雅がどれをもとに描いたかはわかってはいないが、恐らくは中国から伝わった作品を手本として、それに大雅の想像をまじえたのだと思われる。

この絵は、西湖の全景をある一定の視点から眺め渡したように描かれている。西湖は周囲を高い丘によって囲まれ、中央には島が浮かんでいるように描かれている。実際の西湖は、周囲にそんな高い山があるわけではなく、又中央部にこの絵のような大きな島があるわけでもない。

大雅がなにをもとにして、このようなイメージを作り出したか、詳しいことはわからないが、中央の島は白楽天と蘇軾によって築かれた堤をイメージしているつもりなのかもしれない。((165.5×371.0cm 六曲一双 紙本淡彩))



これは中央の島の部分を拡大したもの。島の延長部分には堤のようなものが伸び出ている。







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