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酔翁亭図屏風:池大雅の世界




「酔翁亭図屏風」は「楼閣山水図屏風」のうちの一隻である。酔翁亭とは北宋の詩人欧陽脩が安徽省の滁州に作った亭。彼は皇帝の不興をかってこの地に左遷されたときに、この亭に文人たちを招いては、ともに詩を作って無聊を慰めたという。「酔翁亭記」と題した紀行文は、長らく文章の模範とされ、日本人にも愛された。

絵は中央に酔翁亭を配し、その周囲に樹木の生い茂った山林と、山道を散策する人々を描いている。酔翁亭の中では、欧陽脩を中にして、数人の人々が杯を囲んでいる。外を散策する人々も、思い思いに楽しみを謳歌している。全体としてのどかな雰囲気が伝わってくる。

なお、岳陽楼にしても酔翁亭にしても、池大雅は実見していない。大雅はこの二点のモチーフを、中国明代の無名画家の手になる画帖「祝寿諸名家書画帖」を手本にして、それに自分自身の想像をまじえて書いたのだろうと推測される。(167.5×373.5cm 六曲一双 紙本金箔地に彩色)



これは、酔翁亭の部分を拡大したもの。右下には渓流が走り、その堤には行楽する人々が食事をしたり、釣りをして楽しんでいる様子が描かれている。







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