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木賊兎図:円山応挙




「木賊兎図」と題するこの絵は、木賊を背景にして三匹の兎を描いている。その三匹にはそれぞれ動きがあって、一番左手の兎が後ろのほうへ向いていることで、木賊に連続する視点を導いている。

兎の白を浮かび上がらせるために、その部分を塗り残す外隈の技法が使われている。また中間の兎を黒く塗ることで、左右の兎の輪郭を明確にしている。

木賊の描き方には付立ての技法が使われ、また兎の周囲には雲母を散らすことで、神秘的な雰囲気を醸し出している。

応挙は小動物の写生図を数多く残しているが、この作品はそれらを踏まえて、兎の動きを写実的に表現しようとしたものだ。

(天明六年<1786> 絹本着色 104.5×42㎝ 静岡県立美術館)





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