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老松鸚鵡図:若冲動植綵絵




「老松鸚鵡図」は、松をバックにして一対の白い禽獣を描いた点では、「老松白鶏図」と対をなすものである。「老松白鶏図」では鶏たちの視線は真っ赤な旭日に収斂していくが、この絵では、白い鸚鵡たちの視線の先には緑色の鸚鵡がある。その鸚鵡の羽の一部に赤が塗られている以外には、この絵には赤い部分がない。それでいて寒々しさを感じさせないのは、背景や松の幹に多少の暖かさがあるためだろう。

白い鶏が珍しいのとは異なって、白い鸚鵡は珍しくはない。だがそれは世界規模で比較した場合のことで、日本では鸚鵡自体が珍しかった。若冲はおそらく、実物の鸚鵡を眼にしながら、この絵を描いたのだと思われる。

これもまた鸚鵡の形に添って金泥で下地を整えてから、その上から胡粉を塗ったものだ。鸚鵡の眼の瞳の部分は漆で塗られている。

左下に「心遠館主人若冲写」とある。「写」とは、鸚鵡の姿を写したということか。なお、大典和尚はこの絵を「隴客来集」と題し、鸚鵡の止まっている松の幹を虹にたとえている。(142.6×79.7cm)



これは、二羽の鸚鵡の部分を拡大したところ。金泥の下地に胡粉で描いた鸚鵡の羽の模様がよく見える。







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