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群魚図(蛸):若冲動植綵絵




「群魚図(蛸)」は、海の中を泳ぐさまざまな生き物を描いている。蛸を中心に、その種類は十六通り。すべての生き物が左斜め下のほうへ向かって泳いでいる。このようにすべての対象を同じテーマで統一するところは、若冲の大きな特徴の一つだ。

魚のほとんどは日本の近海で見られるものだから、若冲はこれらを自分の目で見ながら描いたのだと思う。若冲の店があった錦小路には魚の問屋もあったから、あるいはそうした店に並んでいた魚を見たのかもしれない。

親蛸の八本脚のうちの一本の先端に子蛸がからまりついているが、これは若冲のご愛想だろう。署名も製作時期の記載もない。(142.6×79.4cm)



これは、蛸の部分を拡大したもの。蛸の脚の二列に並んだ吸盤が、胡粉を用いて丁寧に描かれている。また小蛸が八本脚を全部使って親蛸の脚にしがみついているところがユーモラスだ。







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