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芦鵞図:若冲動植綵絵




「芦鵞図」は、水辺の芦を背景にして一羽の白い鵞鳥を描いたものである。この作品の著しい特徴は、背景をほとんど墨で描いていることだ。水墨と絵の具で描くと言うのは、中国絵画の伝統を取り入れたのであろう。

背景が地味である分、白い鵞鳥は浮かび上がって見える。しかも、金泥の上から胡粉で羽の模様を描き加える手法をとっているせいで、鵞鳥は余計に派手に見えるように工夫されている。

背景の芦の群も、土手の引っ込みの部分も、かなり荒々しいタッチで描かれている。若冲には水墨画も多くあるのだが、このように荒々しいタッチのものは珍しいと言える。

「宝暦辛己春居士若冲造」との記載があるところから、宝暦十一年春の作とわかる。(142.6×79.5cm)



これは鵞鳥の部分を拡大したもの。金泥を施した上から、胡粉を用いて、羽の模様が丁寧に描かれている。







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