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芭蕉雄鶏図:若冲プライス・コレクション




「芭蕉雄鶏図」は、芭蕉を背景にして雄鶏を描いたもの。筋目描きといって、面と面の間を白抜きすることで、線の部分を筋目のように浮かび上がらせる手法を用いている。岩絵の具ならば胡粉で白い筋をつけるのが可能だが、水墨画ではそういかないので、白抜きの技法が有効なわけである。

雄鶏は首を後ろに向け、背後の芭蕉の葉を眺めている。彩色画の雄鶏とはまた違った趣をかもしだしているのは、白黒の明暗対比で表現する水墨画特有の持ち味による。

左上に「千画絶筆」と彫った長方形の朱印を押しているが、これは安永年間(1772-1780)に用いられていたものとされる。この時期には、石峰寺の五百羅漢の石像作りの資金にしようとして、多くの作品を描いた。(110.0×45.0cm 紙本)



これは、雄鶏の部分を拡大したもの。雄鶏の鶏冠や太もも、芭蕉の葉の先端に水をたっぷり含んだ墨でにじみの効果を演出している一方、雄鶏の羽は、一枚づつ丁寧に描きこまれている。







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