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松鷹図:若冲プライス・コレクション




「松鷹図」は、松の枝に止まった一羽の鷹を描いたもの。鷹は、背景の部分を墨で薄く塗ることで、白く浮かび上がらせるようにしている。一方、羽や腹の部分は、細い線や点でアクセントをつけており、若冲のほかの動物たちとは、かなり違った印象を与える。

この絵の大きな特徴は松葉の描き方にある。筆の先を切って不ぞろいにし、墨を少なく含ませて、こするようにして彩色してある。これは、葉の要素の細部まで丁寧に描き分ける若冲としては、かなり異なったやり方だ。

「心遠館若冲」との署名があり、製作時期の記載はない。松葉の描き方が、宝暦九年製作の「松鶴図襖(鹿苑寺大書院障壁画)」と似ていることから、同じ頃の作だと考えられる。



これは鷹の部分を拡大したもの。若冲にしてはあっさりした描き方が目に付く。







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