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鷲図:若冲プライス・コレクション




「鷲図」は、海に突き出た岩の上にとまっている鷲を描いたもの。肩をいからせた鷲の表情は精悍そもののであり、鶏や小禽類とはまた異なった趣を感じさせる。白黒の明暗対比がはっきりしていることも、この絵の峻厳なイメージを強めているようである。

鷲の嘴の先端は画面の端にぶつかっている。このような描き方は西洋絵画では邪道とされるが、若冲はあえてそう描くことで、画面から飛び出して羽ばたき去らんとする鷲の勢いを描きたかったのだろう。大きく広げた翼や、持ち上げた片足が、今にも飛びあがろうとする鷲の意思を感じさせる。(102.0×41.0cm 絹本)

左手に「米斗翁八十五歳画」とあることから、伏見人形図同様亡くなる年の作であることがわかる。



これは鷲の部分を拡大したもの。翼の部分は、薄い墨の上に濃い墨を重ね、更に濃い墨で羽毛の線を描き加えている。







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