日 本 の 美 術
HOMEブログ本館日本文化美術批評東京を描く水彩画 | プロフィール掲示板



群仙図屏風右隻:曽我蕭白の世界




「群仙図屏風」は曽我蕭白の代表作といってよい作品だ。京都の京極家に伝わってきたもので、昭和40年に再発見されて、蕭白の代表作と認められた。京極家ではこれを、跡継ぎの誕生祝に注文したらしい。明和元年(1964)、伊勢へ出かける前に描いたと思われる。

モチーフは、中国の伝説上の仙人たち。両隻あわせて七人の仙人と西王母が描かれ、また七人の子どもたちが描かれている。七人のうちの一人は仙人に抱かれており、これが京極家の跡継ぎらしい。

赤、青、黄色といった原色を組み合わせて、きわめて色彩豊かな画面になっている。蕭白の作品は墨画が多く、彩色画は非常に少ないのだが、これは「雪山童子図」と並んで、蕭白の彩色画を代表するものであるのみならず、蕭白作品の絶頂をなすものである。

左右あわせての全体的な印象は、荒唐無稽ともいうべき自由奔放さということか。蕭白自身が自由奔放かつ荒唐無稽な生き方をしたわけで、この絵にはそうした蕭白の生き方がそのままに反映されていると見ることが出来よう。

上は、右隻。右から董奉、笙子、李鉄拐、呂洞賓。董奉は医師として虎を助手に従え、李鉄拐は脚が悪いので杖をついている。



これは、笙子。笙の名手だった。赤い衣を着て、鳳凰を従えているが、伝説によると笙子は姫君と恋仲になり、鳳凰に乗って飛び去ったとされる。この絵では、単身で鳳凰に向き合っている。



これは、呂洞賓。中国ではもっとも人気のある仙人である。龍に跨った姿で描かれているが、この龍は身を隠す剣を呂洞賓に与えたとされる。もっともこの絵の中の龍は、仙人に跨られて、情けない表情をしている。なお、仙人の衣の袖は、霊芝というキノコの形になっている。なお落款には「従四位下曾我兵庫頭暉祐朝臣 十世孫蛇足軒蕭白左近次郎 曾我暉雄行年三十五歳筆」とある。

(1764年 六曲一双 紙本着色 172×378cm 文化庁 重文)





HOME 曽我蕭白次へ








作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2013-2021
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである