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朝田寺杉戸図:曽我蕭白の世界




伊勢松阪朝田寺の客殿廊下にある杉戸二枚に、蕭白は計四面の絵を描いた。一枚は、表側が獏図で、裏側が旭日に月図。もう一枚は、表側が鳳凰図で、裏側が萩に兎図である。光線があたる関係で、一部退色している。

上の図は、獏図。獏を描いたと称するが、現実の獏そのものではない。さまざまな動物の特徴を合成したものである。胴体は獅子、頭は象、手足はよくわからない。現実の獏は豚のような形をしているので、これはかなりのデフォルメである。ちなみに裏面には、旭日を浴びた幻想的な風景が描かれている。獏は夢を食うといわれているので、その夢の中の景色のようである。



これは、鳳凰図。鳳凰は桐の木にとまった姿で現わされているが、その姿には鳳凰らしい勇壮さは感じられず、かえってヒョウキンな印象を与える。光線の影響で、退色が進んでいる。ちなみに裏面は、鳳凰の尻尾と桐の葉っぱが描かれている。

(1764年頃 板に着色 各169.3×92.3cm 松阪 朝田寺)





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