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山水図:曽我蕭白 |
「山水図」双幅は「月夜山水図屏風」と並んで蕭白山水図の傑作。これは縦長ということもあり、前景と背景との間の遠近感の演出に工夫が見られる。前景部分では墨を濃く塗り、形態を明確に描いているのに対して、背景や中景の部分では、墨を抑え気味あるいは薄く塗って、遠近感が強調されるように工夫されている。 上は、右隻部分。夏の景である。背景に滝が描かれているが、その線は画面の上部に止まっており、その分垂直感は抑制されている。縦長の画面に描かれた垂直な図形は、ことさらに強調される場合が多いのであるが、この作品は垂直感にはこだわっていない。こだわりはやはり、前景と後景との間の遠近感になるようだ。 これは、左隻、秋の景である。前景から後景へと退くにしたがって、墨の色を抑え気味にし、遠近感を出している。その一方で、樹木のほうは墨を叩きつけるようにして、そのぞんざいさが独特の雰囲気をかもし出している。 蕭白にはめずらしく、絹本の作品。絹本の特徴は、墨にやわらかさが出るという点。そのやわらかさが、特に後景部分のうすぼんやりした表現に生きている。 (製作年不明 絹本墨画 双幅 各101.6×37.6cm 京都市、久昌院) |
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