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仙人図屏風:曽我蕭白の世界




「仙人図屏風」は「群仙図屏風」同様、中国の伝説的な仙人をモチーフにしたものだが、描かれた仙人たちには異同がある。一方、西王母はどちらにも取り上げられている。西王母は、不老不死の薬草を持つ神仙とされ、民衆の信仰が厚かったので、仙人がモチーフの作品には不可欠だったようだ。

上の絵は、右隻。西王母とその侍女たちを描いている。西王母の背後の木は桃の木。桃は、中国では不老長寿をもたらすと信じられていた。小生が中国旅行をした折に、中国人は口を揃えて日本の桃を賛美していた。その意味がいまひとつ分からなかったのだが、桃が中国では不老長寿に結びついていることを後に知って、かれらが桃にこだわった理由がわかったのだった。

鳳凰もまた、不老不死の鳥といわれ、中国の民衆に珍重されていた。日本で長寿と結びつく動物は鶴亀に限られているが、中国は空想上の生き物に不老不死を託したわけだ。



これは左隻、左手に立っているのが黄安、その手前が葛玄である。右手の鯉は、葛玄が好んで食ったという鯉で、これを食うと長生きできると言われた。

(製作年不明 紙本墨画淡彩 160.4×174.6cm 東京芸術大学)





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