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娘日時計(二):歌麿の美人画



(娘日時計 午ノ刻 大判錦絵)

午の刻(正午)は、湯からあがった娘たちを描く。外題にわざわざ「古代者女湯以申刻当此図」と断っているのは、昔は女が昼間から風呂に入ることはなかったと皮肉っているのだろうが、余計なお世話と言うべきだろう。

立っている娘は、湯上りの汗を手ぬぐいで拭き、洗い髪には簪を無造作にさしている。座っている娘のほうは、布のきれはしを口にくわえ、両手で濡れた手ぬぐいを絞っている。この娘の髪は崩れていない。

どちらもふくよかな表情をしている。さっぱりしたところで、これからお座敷に出るのかもしれない。それでこそ、昼間から湯につかる意味があろうというものだ。


(娘日時計 未ノ刻)

未ノ刻というから昼下がりの頃だ。二人のうち、座っているほうは昼寝から覚めたところか。立っているほうの娘は、キセルを振り回して、所在無さそうな仕草をしている。

このシリーズのほかの絵に比較すると、構図がやや複雑になっている。着物の模様にも工夫があり、歌麿のデザイナーとしての才能をうかがわせる。







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