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山姥と金太郎:歌麿の版画



(山姥と金太郎 乳ふくみ)

歌麿は、山姥と金太郎のテーマを繰り返し描いた。山姥も金太郎もそれぞれ、伝説の背景を持っているが、歌麿はそうした伝説に捉われず、母と子の触れ合いという普遍的なテーマとして描いた。そうしたテーマの延長として、ほかに海女と子というのもある。

この絵は乳ふくみと称されるもので、小さな金太郎が母親である山姥の乳にくらいついて、必死に乳を吸っているところを描いたものだ。金太郎は顔や目をあちこちに動かして落ち着きがない。そんなわが子を山姥は、慈愛の眼で見ている。この絵は、30点あまりもある山姥と金太郎シリーズの仲でも、母子の情愛がもっとも素直に表現されている一枚である。


(山姥と金太郎 栗)

これは、母親にすがりついて何かをねだっている子どもの図柄。子どもの金太郎がねだっているのは栗なのだろう。その栗を、母親はいがごと持って、子どもの頭上にかざしている。このまま渡すわけには行かないので、もう少し待ちなさい。いま、いがを取ってあげるから、そういっているように聞こえてくる。







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