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三代目佐野川市松の祇園町の白人おなよ:写楽



(三代目佐野川市松の祇園町の白人おなよ)

白人とは、公娼を黒人と言ったのに対して、私娼を指して言った言葉である。おなよの役柄は、祇園の私娼として大岸蔵人の遊び相手を勤めることだ。この絵は、その場面におけるおなよを描いたもの。

三代目佐野川市松は、女形として出発したが、顔つきやら仕草に女らしさが感じられないとの評判があったという。そのため、後年になって若衆方に転じてしまった。

この絵は、その市松の、女らしからぬ武骨なところがよくあらわれたものとの評判が高い。たるんだ頬や、いかにもいかつそうな鉤鼻、これでは若い女を演じるには適さないかもしれない。写楽の目は、その辺の事情を残酷なほどよく捉えている。


(三代目佐野川市松の祇園町の白人おなよと市川富右衛門の蟹坂藤馬)

この絵にも、長顔と丸顔、上り眉と下り眉、きりっとした目とどんぐり眼といった具合に、対象的な特徴が強調されて描かれている。

なお、これらの絵で、市松が来ている着物の模様は、市松模様と言われるもの。初代佐野川市松が、この模様の着物を始めて着たことが評判となり、以来市松模様として普及するようになった。







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