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日本橋雪晴、霞がせき:広重の名所江戸百景



(1景 日本橋雪晴)

上の絵は、第一景「日本橋雪晴」。雪晴の景色ではあるが、全体の冒頭、春の部の最初に置かれている。

日本橋の北詰上空から、富士をバックに、橋本体とその周辺の町並みを俯瞰したもの。手前は日本橋北岸にあった魚河岸の様子。かの一心太助が出入りしていたところだ。対岸の倉庫群は江戸町人の財力を物語っている。

後景には江戸城が見え、その背後に富士が聳えてみえる。富士は江戸からでも結構大きく見える。それは現在でも同じで、西新宿の超高層ビルからは、特に冬の乾いた空気の中では、すぐ目の前に聳えているように見えるものだ。江戸といえば何といっても日本橋と富士が名物だったわけである。


(2景 霞がせき)

霞が関の名の由来は、日本武尊がここに関所を置いたことにある。その関所からは、雲霞の如くに霞んだ景色が見えたことから霞が関と呼ばれるようになった。要するに古いいわれのある場所なわけである。徳川時代には、大名や大身の旗本たちの屋敷が並んでいた。

これは、福岡黒田藩上屋敷と広島浅野藩上屋敷との間を走る道から、東の方向を眺めたもの。東に向かって坂道になっており、その先には日本橋の町が、更に先には江戸湾が見える。

長閑な正月模様だ。空高くタコが上がり、その下に様々な人が行き交う。一見してわかるのは、御幣を持った大神楽の一行、それを見つめる万歳の太夫と才蔵、右手奥には供を従えた武家の一行が見える。





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