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目黒元不二、八景坂鎧掛松:広重の名所江戸百景



(25景 目黒元不二)

こちらは目黒の元不二。これを元不二というのは、近藤重蔵の別荘の富士より古くからあることによる。これは伊右衛門という町人が組織した富士講によって、文化九年(1812)に作られたという。

新富士と比較すると、標高は低く、なだらかなように見える。それでも山に登ったような気分が味わえるようだ。松の巨木が一本、富士の山頂より高く伸びている。

遠景には本物の富士と、丹沢の山並みが見える。


(26景 八景坂鎧掛松)

八景坂は、中原街道の新井宿と大井との中間にあった。もともと薬研坂といったが、景色がよく八方を望むことができることから、八景坂と呼ばれるようになった。なかでも、眼下に広がる江戸湾の眺めは絶景であった。

これは、八景坂をのぼったところにある茶屋からの眺めを描いたもの。茶屋の前に大きな松がある。八幡太郎義家が欧州征伐に向かう途中、この松に鎧をかけて休息したという故事から、鎧掛松と呼ばれるようになった。

江戸湾には帆掛け船がのんびりと浮かび、海岸線には東海道と松並木が見える。この道を左の方向にゆくと、やがて品川である。海のブルーと麦畑の黄色の対比が鮮やかである。






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