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逆井のわたし、深川八まん山ひらき:広重の名所江戸百景



(67景 逆井のわたし)

逆井の渡しは旧中川にあったもので、今の大島と西小松川を結んでいた。竪川に沿った佐倉街道の渡し場だった。佐倉街道は小松川から小岩を経て市川に向っていた。千住大橋ができると、千住を経由して小岩へ出る道が開かれ、それが佐倉街道と呼ばれるようになったので、逆井の渡し付近は元佐倉街道と呼ばれるようになった。

この絵は、大島側から小松川方面を望んだ構図。中川は、いまと違って結構川幅がある。もともとは旧利根川と旧荒川が合流していたので、水の流量も多かったのだと思われる。今の旧中川は、途中で荒川放水路に分断されて、河川としてのイメージが一段と薄くなっている。

行きかう舟は物資輸送の舟だろう。上空には白鷺が飛び交っている。遠景にはるかに見えるのは筑波山。


(68景 深川八まん山ひらき)

深川の富岡八幡宮は、砂村にあった八幡宮を寛永六年(1629)に移転したものである。八幡宮としては江戸随一の規模を誇り、その祭礼である八幡祭は、神田明神祭、日枝山王祭と並んで、江戸の三大祭と呼ばれた。

八幡宮に接して、別当寺である永代寺があった。永代通りの名は、これから来ている。永代寺の境内には広大な庭園があって、毎年三月二十一日から四月十五日まで一般公開されていた。その初日を山開きといった。

この絵は、境内の池を描いたもの。広大な池のまわりに、鮮やかに色づいた樹木や人造富士が見える。





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