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湯しま天神坂上眺望、王子装束ゑの木大晦日の狐火:広重の名所江戸百景



(117景 湯しま天神坂上眺望)

湯島天神の歴史は古く、南北朝時代に遡る。京都の北野天満宮から勧請してきたものだ。祭神は学問の神菅原道真。亀戸天神とともに、受験の合格を祈願する学生達が絵馬を献上する姿が毎年見られる。

神社は湯島台地の東のはずれにある。そのため、東側から北側にかけて崖のようになっている。その崖に沿って二つの坂道あるいは階段道があって、東側の急なほうを男坂、北側の緩やかな方を女坂と呼んだ。

この絵は、女坂から北の方角を眺めた構図。眼下に不忍の池が広がり、中の島やその先の上野の山が見える。一帯は雪景色である。


(118景 王子装束ゑの木大晦日の狐火)

王子の稲荷神社の東側には田甫が広がり、その中に一本の榎が立っていた。毎年の大晦日、その榎の下に大勢の狐が集まり、命婦の装束に着替えて神社に参拝したと伝えられる。その際に狐たちが発する火を狐火と呼んだ。

この絵は、榎の下に集まった狐たちを描いたもの。狐たちはなにやら話し合っているように見える。実際には、狐ならぬ人間たちが大勢、神社にやってきたのである。


(119景 赤坂桐畑雨中夕けい)

この絵は、落款にあるとおり、二代目広重の作品。赤坂溜池と、ほとりの桐畑を描いている。池の背後に見える台地は山王神社のある台地。やや大げさに描かれている。





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