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東方朔捧桃図:富岡鉄斎の世界




東方朔は、漢の武帝時代に実在した政治家だが、奇怪な行動で知られ、ついには仙人になったといわれる。李白は詩中でかれを次のようにたたえている。「世人不識東方朔、大隠金門是謫仙」

仙人としての東方朔は、西王母と結びつけられる。西王母は、三千年に一度しか実を結ばない桃を植えたところ、東方朔はそれを三つも盗んだというような話である。その桃は不老不死の効果があるとされた。この話は「漢武故事」に見える。

絵は、東方朔が巨大な桃を捧げ持つさまを描く。賛には次のような記事が書かれているが、これは「漢武故事」の一節を引用したものである。「漢の武帝の時、東郡が小人を献じた、武帝が東方朔を呼ぶと、その小人は朔を指差して言った、「西王母が三千年に一度実を結ぶ桃を植えたら、こいつはその身を三つも盗んだ」と。

さりげない筆使いで、躍動感を表現できている。

(1916年 紙本着色 132.2×64.3cm 宝塚市、清荒神清澄寺)





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