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美人観蛙戯図:河鍋暁斎の美人画




幕末から維新前後にかけては美人画の浮世絵が流行ったこともあって、暁斎は美人画を多く手掛けている。結構需要があったのだろう。ほかのジャンルの絵同様、美人画にも戯画の調子が感じられる。そこが暁斎らしいところだろう。

「美人観蛙戯図」と題するこの絵は、蛙たちに見とれる美人を描いたもの。美人は膝を折ってうずくまり、真剣な眼差しでなにかを見つめている。その表情の真剣さに対比して、着物の裾が乱れていたり、赤い腰巻がちらりと見えていたり、遊び心を籠めることも忘れない。

単純な構図を、左手前の石灯篭と葡萄の蔦を配することで、変化を持たせているのは、暁斎らしい工夫か。

美人の顔はほんのりと赤く塗られている。そのことで人物に生気がみなぎって見える。その美人の視線の先には、大勢の蛙たちが遊んでいる。二匹の蛙が相撲をとり、それを囲んで、はやしたり応援したいるする蛙たちの様子が描かれる。



これは蛙たちの部分を拡大したもの。相撲をとる二匹の蛙と、それを横目で見たり、口を大きく開いて応援する蛙たちの様子が生き生きと描かれている。

(明治四年 絹本着色 56.1×92.8㎝ 個人コレクション)






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