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暁斎楽画 地獄太夫:河鍋暁斎の戯画




「暁斎楽画」シリーズの一枚「地獄太夫」。地獄太夫といえば一休伝説の中で出てくる遊女のことだが、この絵では一休を省いて地獄太夫だけを登場させている。それとともに、一休と縁の深い骸骨も多数登場させている。その数たるや夥しい。そんなわけでこの絵は、地獄太夫をダシにして骸骨を描くのが目的だったと思わせるほどだ。

その骸骨たちは踊ったり遊んだりしている。中には墓石をもてあそんだり、囲碁に興じているのもある。これらの骸骨たちは、地獄太夫の転寝の夢の中に現れたと読めなくもない。その地獄太夫は、椅子に腰かけた姿勢で、顔を肘で支えながら転寝をしているように見える。

骸骨と背景がほとんど青一色なのに対して、地獄太夫をはじめ前景の部分は赤を主体にして鮮やかな色で塗られているために、浮き出ているように見える。足元にあるのは閻魔大王と少女。閻魔大王のほうは、太夫とは地獄の縁でつながっているようだ。少女のほうは、太夫をめざして見習い中なのだろう。

暁斎は骸骨が好きだったようで、ほかにも骸骨の絵をたくさん描いた。

(明治七年 大判錦絵 河鍋暁斎記念美術館)






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