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正清三韓退治図:月岡芳年 |
秀吉の朝鮮征伐も武者絵の格好の題材となった。月岡芳年の「正清三韓退治図」と題する作品もその一点。題名にある正清とは加藤清正のことをさす。このようにひねった命名をしたのは、大石内蔵助を大星由良之助としたのと同じ趣向である。 絵は、秀吉の軍勢が朝鮮の船に襲いかかるさまを描く。中央部の裸の男は「団丹右衛門」と書かれているが、これは塙団右衛門のこと。文禄の役で功を上げた武将である。左手で剣を振るっている佐藤左馬之助嘉明は加藤嘉明のことである。 この絵の船は鉄製のようで洋式を思わせるが、おそらく当時日本を騒がせていた黒船をイメージしたのだろう。その黒船に日本の歴史上の英雄たちが襲いかかっているのは、当時の攘夷の風潮を暗示しているのだと思われる。 これは中央の部分を拡大したもの。褌一丁の丹右衛門が船に飛びついて、いまにも敵に襲いかかろうとしている。その表情は精悍そのものである。 (元治元年<1864> 大判三枚続) |
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