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西塔ノ鬼若丸(一魁随筆):月岡芳年




「一魁随筆」とは題していても、文集ではない。錦絵のシリーズである。ここでいう「随筆」とは、勝手気ままに描いたものというほどの意味らしい。全部で十三図からなる。いずれも題名を記した枠を配しているが、その枠の左側には北斗七星の第一星「魁星」が、右側には北斗七星の「斗」の字があしらわれている。

これは「西塔ノ鬼若丸」と題した一点。明治元年の「和漢豪気術」の一作「鬼若丸」を描き直したもの。前作を上下に反転させている。顔が下にくることで、躍動感がいっそう高まって見える。

また上下にぼかしを入れ、モチーフがくっきりと浮かび上がって見える工夫が為されている。斜めの線による波の表現も秀逸である。

(明治五年<1872> 大判錦絵)






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