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城山隆盛最後一戦:月岡芳年の報道画




明治十年の西南戦争は、新聞出版業界を大いに賑わした。この戦争の報道に庶民の関心が高まり、新聞は発行部数を大いに伸ばした。日露戦争や太平洋戦争でも同じような現象が起き、戦争が新聞の需要を高めるという法則のようなものが確認されるにいたっている。

芳年も西南戦争に取材した絵を作った。「城山隆盛最後一戦」と題したこの作品はその一つ。西郷隆盛が城山付近で自殺し、その首を別府晋介等が戴いて退却するところを描いている。

詞書には、安村警部が追撃してきて、別府等は西郷を籠に乗せて退却しようとしたが、ついに追い詰められて西郷は切腹、介錯した別府が西郷の首をとったと書いてある。この絵は、別府等が西郷の首を抱き、その周りを桐野利秋、逸見十郎太、村田新八等が囲む一方、左手から安村警部がせまる様子を描いている。安村警部は日章旗を旗印にしている。



これは西郷隆盛の首の部分を拡大したもの。隆盛の首を持っているのは別府晋介、その右手は村田新八である。どちらも西郷とは子ども時代からのつきあいだった。

(明治十年<1877> 大判三枚続)






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