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奥州安達がはらひとつ家の図:月岡芳年の縦二枚継絵




これは奥州安達ケ原の人食い鬼伝説に取材した一点。この伝説は能や歌舞伎に取り上げられたほか、さまざまな形で人口に膾炙していたものだ。それを芳年が視覚化した。

伝説では、安達ケ原に住む鬼婆が、自分の家に泊めた旅人を殺して食うということになっている。ある日、旅人が絶対に見るなと言われた隣の部屋を見ると、そこには食われた旅人たちの死体が多数転がっており、驚いた旅人が命からがら逃げるという話だ。

この絵は、鬼婆が腹の大きな女を逆さずりにして、これから包丁で殺そうとしている場面。鬼気迫る雰囲気が伝わってくる。



これは鬼婆の部分を拡大したもの。この絵はとかく逆さずりにされた腹の大きな女に目が向くのであるが、鬼婆の描写もなかなかのものである。

(明治十八年<1885> 大判縦二枚続)





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