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うるささう(風俗三十二相):月岡芳年の風俗画




明治二十一年に刊行した「風俗三十二相」は、様々な階層の女性たちの表情や仕草をテーマにしたもので、全部で三十二の図柄が作られた。描かれた三十二人の女性たちのうち、徳川時代の女性が二十三人、明治の女性が九人である。それぞれ、うれしそうとか、寒そうとか、痛そうとかいった具合に、女性の感情を「そう」ということばで表現している。

これは「うるさそう」。女性の騒ぐ姿がうるさそうに聞こえるという意味だ。なぜこの女性はうるさそうなのか。それは猫に戯れるあまり、きゃっきゃっと声を上げてうるさく騒ぐからということらしい。

この若い女性は、寝そべりながら猫に頬ずりをしている。された猫は馴れたとばかり、おとなしく頬ずりをさせている。

(明治二十一年<1888> 大判錦絵)





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