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二重橋前騎馬兵、旧本丸雪晴:小林清親の東京名所図



(二重橋前騎馬兵 明治九年)

現在の二重橋は、堀前の広場から見て、手前が石橋、奥が鉄橋になっている。橋の正式名称は、手前が西丸大手橋、奥が西丸下乗橋といい、奥のほうを本来の二重橋と言うが、通常は二つを合わせて二重橋と呼ばれることが多い。

これは明治初年の二重橋を描いたもので、手前の大手橋、奥の下乗橋ともに木造である。その橋をバックにして、馬を走らす兵士と、その前を歩く庶民の女を描いているが、風景に人物を添えるのは、日本の錦絵の伝統である。

この絵を見ていると、木が石に変ったとはいえ、橋のたたずまいそのものは、今も昔もほとんど変っていないことを感じさせる。この眺めは、徳川時代から平成の今に至るまで、多くの日本人の瞳に焼き付いてきたわけだ。


(旧本丸雪晴)

江戸城本丸跡は、いまでは皇居東御苑となっており、一般公開もしている。ほとんどは樹木で蔽われ、都心のオアシスの気分が味わえる。焼け落ちた天守閣は、土台の部分だけが残っている。

これは、本丸を坂下門内から眺めたところだろう。遠くに見えるのは富士見櫓。その手前を近衛兵が行進している。荒涼とした空の下に広がる雪景色が寒々しい。







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