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嫁ぐ人:鏑木清方 |
明治40年(1907)、鏑木清方は木挽町から浜町河岸に転居。同年催された東京勧業博覧会に「嫁ぐ人」を出展した。モチーフの嫁ぐ人とは、ほぼ中ほどで花束を持っている女性だろう。その女性を囲んで四人の女たちが描かれているが、彼女らは花嫁の心得を聞かせてみたり、あるいは自分自身の結婚のことを考えているのかもしれない。 彼女らの頭上には、木の枝に吊るされた籠の中のオウムがおり、嫁ぐ人のほうを見つめている。そのオウムのことを、画面右手の女が気にしているように見えるのは、オウムが何かけしからぬことを言ったからか。手前の女は腰をひねって気取っているが、髷の形や服装からして、娘ではなく女房のようだ。 清方は、この絵を描いたころ新派に親しんでいて、新派の女優たちをモデルに使ったこともあるようだ。この絵の中の女たちも、そうかもしれない。背景の庭園は小石川植物園だというから、清方は行楽を兼ねて女優たちを連れて行ったのだろうと思う。 (1907年 絹本着色 185.0×116.5㎝ 鎌倉市) |
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