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よそほひ:上村松園の美人画




上村松園は生涯を通じて美人画一筋に描いたが、モチーフになったのは、和装の女性たちであり、しかも現代の女性というより、過去の女性が殆どだった。それも徳川時代の女性である。文明化した近代日本で、徳川時代の女性たちに美の典型を求めたわけである。

「よそほひ」と題したこの絵は、母親が娘の気付けをしてやる場面を描く。凝った服装やら鏡などの小道具からして、同時代の女性というよりは、過去の女性の優雅さを描いたものと受け取れる。

松園は、生きた人物をモデルにしたこともあるが、歌麿など徳川時代の美人画を参考にしたことが多かった。この絵にも、歌麿の「風俗美人時計」の影響が指摘される。

娘が鏡に見入りながら、着付けの具合を確かめている。その表情は真剣そのもので、おしゃれにかける若い女性の意気込みは、昔も今も変らないことを感じさせる。

(1902年 絹本着色 95.0×53.0cm 福富太郎コレクション)





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