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切支丹波天連渡来之図:竹久夢二の美人画 |
竹久夢二には西洋かぶれのところがあって、西洋趣味を感じさせる作品を、1914年から数年間を中心にして残している。それには少年時代を神戸で過ごした影響が指摘される一方、明治の末以降、北原白秋の詩集「邪宗門」によって南蛮趣味が流行したことも作用したと思われる。 「切支丹波天連渡来之図」と題するこの作品は、そんな夢二の西洋趣味を感じさせるもの。題名からは白秋の「邪宗門」の反響が感じられる。 芸者が西洋人の男と波止場でくつろいでいるところを描く。芸者は派手な色彩の着物を着ており、その文様には「夜」とか「手枕」といったなまめかしさを感じさせる漢字が書かれているが、膝の上の両手には聖書が握られてる。 その傍らに座っている西洋人の男は、女性を無視するかのように全く違った方向を眺めており、二人の間に心の通い合いがあるようには見えない。女性は身をくねらせてしなをつくっているようにみえるが、その表情は真剣である。 (1914年 絹本着色 112.0×39.1㎝ 下関市立美術館) |
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