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水竹居:竹久夢二の美人画




竹久夢二は、1931年5月に欧米への旅行に出発した。同年6月にサンフランシスコ着、翌年10月にハンブルグ着、その翌年1933年9月神戸港に戻ってきた。その直後身体が不調に陥り、1934年1月に信州の富士見高原療養所に入院するが、同年9月に死んだ。そんなことから、夢二長年の希望だった欧米旅行は、死出の旅となったわけだ。

アメリカでは個展を開いたが、まったく売れなかった。当時のアメリカはまだ、大恐慌の混乱から立ち直っていなかった。また、ドイツでは、ベルリンのヨハネス・イッテンと交流があった。イッテンは、バウハウスの教授を首になった変わり種の芸術家で、夢二を自分の画塾に招いて日本画を教授させたのだという。

「水竹居」と題したこの作品は、ベルリン時代のもの。ドイツ人の女性に浴衣を着せてポーズさせたものである。実際に浴衣を着せたかどうかはわからない。それはともかくとして、女性の顔つきや身体の線は、明らかに西洋人のものであり、それが和装をしいているところに、独特の色気を感じさせる。

(1933年 紙本着色 70.0×50.0㎝ 竹久夢二美術館)




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