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南禅寺本坊:日本の寺院庭園




南禅寺は、正応四年(1291)に亀山法皇が無関禅師を開山に迎えて創設した古い禅寺であり、いまでも臨済宗の大本山として広大な規模を誇っている。庭園としてもっとも見るべきは本坊方丈庭園で、これは寛永六年(1629)に、当時の南禅寺住職金地院崇伝が小堀遠州に依頼して作らせたものである。

この庭園は、遠州の作った枯山水式庭園の傑作と言われる。遠州は、狭い空間を独特の遠近法によって組み立てることで、実際以上に大きく見える工夫を施した。すなわち、砂利を敷き詰めた前庭にある背後の石組みのうち、左手から右手にかけて順に大きさを減じさせることによって、左手前からそれを眺めた場合に、実際の遠近感よりも強調されて見える工夫である。

上の写真は、その左手前から眺めたところだが、石の大きさが、背景に退くほど、低減して見えるのがわかる。これは、石の実際の大きさを背後に行くほど小さくすることによって、眼に映る遠近感を、一層協調していることの効果である。このことによって、庭そのものも実際より大きく見えるわけである。



上の光景を書院側から眺めかえしたところ。白砂が水の流れを表現している。



植栽越しに書院を眺めたところ。



南禅寺の庭園としてはほかに、小方丈庭園と六道庭とがある。どちらも昭和の造園で、小方丈庭園は白砂と石の組み合わせからなる枯山水、六道庭は回遊式庭園である。これは六道庭の一部。







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