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夏冬山水図(夏):雪村の世界




「夏冬山水図」双福は、「風濤図」とだいたい同じころに描かれた。夏図には、深山幽谷の奥をめざす高士とその従者を、冬図には、わが家への道を急ぐ農夫と漁夫が描かれている。どちらも、単に山水を描くにとどまらず、人間の生活をただよわせているわけである。

上は夏図の全体図。深山の奥には楼閣が二つ見える。その楼閣の傍に滝が落ち、そこから流れた水が渓流となって流れる。その渓流にかかる橋を、高士とその従者が渡る。かれらは、楼閣に住む隠者を訪ねるのであろう。



これは楼閣の部分を拡大したもの。建物の内部まで丁寧に描いているが、人間の姿は見えない。滝や手前の渓流は、白抜きの方法をもちいて表現されている。よく見ると、ところどころ淡彩が施され、画面に変化をもたらしているのがわかる。

(掛幅 紙本墨画淡彩 102.0×40.5㎝ 京都国立博物館 重文)





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